宇都宮観光ガイド|大谷石文化・餃子グルメ・自然を楽しむ完全ガイド

カトリック松が峰教会(大谷石建築)

大谷石建築の傑作・カトリック松が峰教会

カトリック松が峰教会は、栃木県宇都宮市にあるキリスト教(カトリック)の教会で、大谷石建築としては現存最大級のロマネスク・リヴァイヴァル建築です 。1998年に国の登録有形文化財に登録されました 。

近代ロマネスク様式を基調にした建築が特徴のカトリック教会で、宇都宮特産の大谷石を大部分に使用しています 。宇都宮市の中心部に位置し、市のシンボル的存在として市民に親しまれています。

創立から現聖堂の完成まで

1888年にパリ外国宣教会のカジャック神父により川向町に宇都宮天主公教会が創立されました 。1895年(明治28年)には現在の土地に移転し、1910年(明治43年)に最初の聖堂が建てられました 。

現聖堂は1932年11月20日に竣工し、11月23日に献堂式が挙行されました 。当時の聖堂は畳敷きでした 。

戦災と復興

1945年7月12日、太平洋戦争でアメリカ軍の空襲により罹災しました 。昭和20年の宇都宮空襲において、屋根と礼拝堂が被災し焼失してしまいましたが、戦後すぐに復元を果たしました 。

聖堂の復元工事が完了したのは1947年(昭和22年)でした 。大谷石で造られた外壁は無事で、焼夷弾により焼け焦げた痕跡が今も残っています。

建築の特徴

設計者マックス・ヒンデル

設計は当時横浜に住んでいたスイス人建築家のマックス・ヒンデルで、施工は宮内初太郎(施工統括)と安野半吾(石工棟梁)によって行われました 。マックス・ヒンデル(1887-1963年)は上智大学1号館も設計しています 。

設計者のマックス・ヒンデルは故郷のグロスミュンスター大寺院を思いながら、この教会の設計を行いました 。躯体を近代工法である鉄筋コンクリート造にし、地域固有の建材である大谷石を組み合わせた、伝統とモダンが組み合わされた教会建築となりました 。

双塔を持つロマネスク様式

日本では数少ない双塔を持ち、大谷石外壁にロマネスク様式の装飾が施されています 。正面の2つの塔は4階、他は2階建てで、正面左右の2階に通じる階段の手すりや2階の窓にも半円アーチが多く用いられています 。

鉄筋コンクリートの造りで、内・外壁に宇都宮市特産の大谷石を張り付け、そこにロマネスク様式の文様を刻んでいます 。コンクリート製の聖堂では、日本で一番古い教会の一つとされています 。

帝国ホテルと同じ採石場の大谷石

2階にある聖堂の内外壁に用いられている大谷石は、旧帝国ホテルに用いられた場所と同じ大谷の採石場から切り出されたものに、石工職人によりさまざまな意匠が施されています 。建築家フランク・ロイド・ライトが帝国ホテルに使用したことで知られる大谷石を、同時期に使用した貴重な建築物です。

聖堂内部の魅力

聖堂の中は厳かな雰囲気が漂い、バロック様式のパイプオルガンの音色が美しく響きます 。1978年(昭和53年)にバロック式のパイプオルガンが設置されました 。

聖堂に用いられている石材「大谷石」は、コンクリートやガラスに比べ高い吸音率を誇るとされ、そうした優れた音響環境を活かし定期的にクラシックなどの演奏会が開催されています 。大谷石の暖かみのある風合いと厳粛な雰囲気の中で聞く演奏は格別です。

見学とアクセス

教会内部や敷地内の見学も可能で、毎週日曜日は10時からミサが行われており、誰でも参加することが可能です 。見学は基本的に無料ですが、団体の場合は事前に予約が必要です。

夜にはライトアップされ、より美しい教会の姿を眺めることができます 。ライトアップは毎日20時半まで実施されており、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しめます。

電車・バスでのアクセスは、東武宇都宮線東武宇都宮駅から徒歩約5分、またはJR宇都宮駅から市内バス「きぶな」約14分、松が峰教会前下車、徒歩約2分です 。車の場合は、鹿沼ICから約20分、宇都宮ICから約25分となっています。
カトリック松が峰教会 | とちぎ旅ネット〜栃木の観光旅行情報サイト

文化財としての評価

1982年(昭和57年)に、聖堂が日本建築学会『日本近代建築総覧』に選定されました 。2002年(平成14年)に宇都宮市『まちなみ景観大賞』を受賞し、翌年にうつのみや『百景』に選定され、2006年(平成18年)には『大谷石百選』に選定されました 。

松が峰教会は、宇都宮のシンボルとして信徒だけではなく、多くの人々に愛され、親しまれている建築物です。