
栃木県宇都宮市の中心部、市役所のすぐ南側に位置する宇都宮城址公園は、戊辰戦争で焼失した宇都宮城本丸の一部を復元した歴史公園です。平成19年(2007年)に完成して以来、市民の憩いの場として親しまれています。
宇都宮城址公園の歴史
宇都宮城は平安時代後期から宇都宮氏代々の居城として栄え、関東七名城の一つに数えられていました。江戸時代には徳川将軍が日光東照宮参拝の際の宿泊施設としても利用されました。
しかし、明治初頭の戊辰戦争で城は焼失し、戦後の都市開発によってほとんどの遺構が失われました。その後、本丸の一部の土塁だけが現存する状態となっていました。
もともとは「御本丸公園」として整備されていた場所でしたが、2002年に「宇都宮城址公園」と名称を改め、2003年から宇都宮城の本丸を再現する工事を開始しました。4年の歳月をかけて2007年に工事が完成し、現在の姿となりました。
復元された歴史建築物
清明台櫓と富士見櫓
歴史資料や発掘調査に基づいて復元された清明台と富士見櫓が公園のシンボルとなっています。これらの櫓は木造本瓦葺きで白漆喰総塗籠で仕上げられており、栃木県内産の桧・杉・松が用いられています。
2階建ての櫓は1階部分を見学することができ、小窓から宇都宮市街の景色を眺めることが可能です。清明台櫓は他の櫓よりも高い場所に建てられているため、天守閣としての役割を果たしていたという説があります。
土塁・堀・土塀
櫓だけでなく、土塁や堀、白漆喰塀なども忠実に再現されています。堀の中には魚が泳いでいる姿も見られ、江戸時代の城郭の雰囲気を感じることができます。
土塁の上へは階段を使うか、中央にあるエレベーターで上がることができ、バリアフリーにも配慮された設計となっています。
充実した展示施設

清明館(歴史資料館)
公園内には歴史資料館「清明館」があり、入場無料で見学できます。宇都宮市内の縄文時代からの遺跡・史跡から出土した品々や、宇都宮城関連の絵図、文献などが展示されています。
最先端技術によるVR体験も実施されており、鳥になった気分で移動しながら360度の大パノラマで往年の宇都宮城を体験することができます。また、市内の古墳から発掘された土器やアクセサリーなども見学でき、宇都宮の歴史を幅広く学ぶことができます。
宇都宮城ものしり館
土塁下部にある「宇都宮城ものしり館」では、宇都宮城本丸を再現したジオラマや、約5分の動画で城の歴史をわかりやすく解説しています。当時の様子をCGで再現した映像もあり、短時間で宇都宮城の変遷を学ぶことができます。
まちあるき情報館
江戸時代に作られた大きな桃太郎の山車が展示されている「まちあるき情報館」もあります。壁には市内の観光スポットが掲示されており、宇都宮観光の情報収集にも役立ちます。
四季折々の魅力
公園内には4種類の桜が植えられており、春には長い期間お花見を楽しむことができます。河津桜、大山桜、ソメイヨシノ、しだれ桜がそれぞれ異なる時期に開花するため、訪れる人を楽しませてくれます。
毎週金曜日から日曜日には日没から21時までライトアップが実施されており、夜の幻想的な雰囲気も楽しめます。
市民の憩いの場として
芝生に囲まれた広大な園内では、さまざまなイベントが開催されています。宇都宮餃子祭りをはじめ、年間を通じて多彩な催しが行われ、市民の交流の場となっています。
お弁当を持ち込んでピクニックを楽しむこともでき、家族連れからカップル、歴史愛好家まで、幅広い層に親しまれている公園です。
アクセス・施設情報
公園は24時間開放されていますが、歴史建築物の見学時間は午前9時から午後7時まで、展示施設は午前9時から午後5時までとなっています。年末年始を除いて無休で、入場料は無料です。
アクセスは、JR宇都宮駅西口から関東バス「市内循環線(きぶな)」で約15分、「宇都宮市役所」または「宇都宮城址公園入口」下車すぐです。車の場合は東北自動車道鹿沼インターチェンジから約20分で、市役所東側の城址公園駐車場や市役所の東第2駐車場を無料で利用できます。
宇都宮城址公園は、歴史を学びながらのんびりと過ごせる、宇都宮観光には欠かせないスポットです。復元された櫓や土塁を眺めながら、江戸時代の城郭の雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。